2020年(令和2年)のご挨拶

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新年あけましておめでとうございます。皆様にはお元気で新春を迎えられた事とお慶び申し上げます。当店も、皆様のご支援とご協力により、恙なく新年を迎える事が出来ましたことを厚く御礼申し上げます。

昨年は元号が平成から令和となり、安倍政権は発足して7年が経過し、憲政史上最長の任期となりました。「アベノミクス」により企業収益は拡大し、雇用情勢も改善され、物価もマイナスから脱却したと言われています。しかし、日銀が唱えた「異次元金融緩和」は金融機関や大企業には影響を与えたものの、大きな金融政策の方向転換には至らなかったものと思われます。

また、昨年10月から執行された消費税増税時には、軽減税率の導入やポイント還元が導入されました。経済産業省によりますと、ポイント還元による予算が400億円不足するため、あらたに追加の財政措置が検討されるとの事です。

あたかも消費の拡大やデフレからの脱却が果たされたかのようですが、その恩恵を受けたのはコンビニ等の小売業、キャッシュレス決済の事業者やクレジットカード会社であり、我々一般的な飲食店は蚊帳の外で、全般的には未だにデフレからの脱却は図られていないのが実態ではないでしょうか。次なる成長戦略へと放たれた「新たな三本の矢」に期待するところであります。

さて、そば屋業界は外食産業の中では比較的、底堅い市場と言われ、ひと昔前までは親世代から“そば屋は景気に左右されない”と言われてきました。しかし、その頃と比べてみると現在の状況はどうでしょうか?

酒販店がコンビニに変わり、そのコンビニが百円コーヒーを販売し始めたかと思うと、今度はコンビニスイーツなるものを店頭に並べ、街の喫茶店やケーキ屋の売り上げに影響が出始めて来ています。そして、コンビニの隣にあった飲食店は、全国にチェーン展開する外食産業に代替わりしています。

競争が激化する外食産業の中にあって、そば屋業界も原材料の高騰や人件費の増加、後継者不足の問題等で店舗の廃業も出始め歯止めが掛からない現状です。

余程の資産家や突起した実力が無い限り、生き残れないのが実情です。その中で失われ始めたのは「伝統」な気がしています。

私は過去、両親と喧嘩して20代後半まで日本のスカイダイビング界にいました。30代になってから家業のそば屋に戻り、一から修行の日々に明け暮れました。なので、そば屋としては「遅咲き」です。先日地元のそば組合の新年祝賀会に副組合長として参加してみると、組合仲間のひとりが“両親に騙された”と酔っぱらっていました。私にしたら“そんなにそば屋が良い時代が本当にあったのか?”と信じられない気持ちです。彼の店は駅前で利用客も昔は多くさぞかしご両親の時代は儲かったのでしょうね。当店は違います。私は本腰を入れる為に自店にあった全てを見定め、徐々に入れ替えを行いました。それは一言でいうと「伝統的な手造りと機械化の融合」です。この道のりは決して楽ではなく、収入も前職の半分以下に減り、正直なところ地元の酒場で1年近く飲んだくれた時期もありました。但し日本経済もデフレに突入して行ったので違和感は感じません。そしてある方に「あなたはココにいるべき人じゃない」と夜の街から突き放されました。

それらの時期を救ったのは「過去の経験や誇り」+「地元の狭い枠から出る度胸」+「正しく指導して下さった海外の知り合い達」です。新年会で愚痴った彼とはその辺りが違います。私は自分の意志でそば屋業界に、また地元に戻ってきました。次は「伝統的な手造りと機械化の融合」のその先を目指しております。たぶん見つけました!

各店や各人員が、それぞれのロケーションにあった取り組みと活性化に向けてより一層の努力が必要とされています。

今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。また11月にはアメリカ合衆国の大統領選、中国ファーウェイによる高速通信網5Gの攻防問題もあり、いずれ日本経済も影響も受けます。より一層の努力とは、これらに負けないくらいという意味(日本人の底力)になります。

併せて政府は「2020年訪日外国人旅行者4000万人」に向けたグローバルキャンペーンを進めております。

海外から多く観光客が日本に押し寄せてまいります。最近では下町の旅館に泊まり銭湯に入りに行くという外国人が増えているそうです。「そば」は、日本が誇る伝統的なファストフード。全国チェーンのお店では体験できない日本古来の伝統食を、各お店ならではの心温まるサービスで外国からの観光客に愉しんでいただこうではありませんか。

話を戻しまして、、、令和になってからの新しい年明けに向かって頑張りましょう。

本年の皆様のご健勝とご多幸をご祈念申し上げご挨拶といたします。        霄蕎庵 三代目 伊藤隆志

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